2021年6月、東京・港区の六本木の交差点で、1台のワンボックスカーが当て逃げ事故を起こした。後部座席に乗っていたのは武井俊輔衆議院議員、運転していたのは当時の政策秘書の60代の男性。50代の男性が軽いけがをした。

この事故で、車が「無車検・無保険」だったことが判明した。事故から7か月後の2022年1月、警視庁は武井議員と元政策秘書の2人を東京地検に書類送検した。

容疑は

●武井議員(車の所有者)1
無車検(道路運送車両法違反)、無保険(自動車損害賠償保障法違反)

●元政策秘書
過失運転傷害(自動車運転処罰法違反)、当て逃げ(道路交通法違反)、無車検(同上)、無保険(同上)。


東京地検は3月30日、元政策秘書の「過失運転傷害罪(略式起訴)」以外を全て不起訴とした。2日後の4月1日、武井議員は地元の宮崎市で記者会見を開いた。会見の主な論点は「無車検・無保険が不起訴になった理由」と「『行ってしまえ』というドラレコ音声の事実関係について」の2点。50分にわたり武井議員が語った内容は。

発生から書類送検までの動きを描いた「秘書が“当て逃げ”の武井議員 ドラレコ音声に「行ってしまえ」の声 半年間の取材で見えた事件の深層」(2022年1月23日付)も再公開する。

■購入時点で車検まで半年


会見は、JNN系のMRT宮崎放送記者が取材した。武井議員は、一つ目の論点の「無車検・無保険」について以下の事実を明らかにした。
車を購入したのは2020年10月ごろ。ディーラーに勤務していた当時の秘書を通じ、宮崎市で買った中古車だった。その時点ですでに、車検満了日(2021年3月23日)まで半年を切っていた。東京事務所ではこの車を使い、ふだんは秘書が運転、まれに武井議員自ら運転することもあった、という。しかし「無車検・無保険」について「自宅に車検のハガキが来た記憶がない」と「故意性」を否定した。

■「不起訴処分」の理由

「無車検・無保険の疑い」について東京地検は「十分な証拠がなかった」として、嫌疑不十分の「不起訴」とした。武井議員が警視庁の聴取に無車検・無保険の疑いを認めたなか、なぜ不起訴となったのか。ある捜査関係者はこう説明してくれた。
「無車検」を禁止する道路運送車両法、「無保険」を禁止する自動車損害賠償保障法にはともに「過失」による罰則規定がない。「故意」による車検切れ、保険の未加入を前提にしているため、無車検・無保険の事実を知らなければ罰せられる対象にはならない。

本件で被害者の男性は、検事から「車検と保険の通知が武井議員本人のところに行ったのかが証明出来ない」という説明を受けたという。

この事故がなければ、武井議員や元秘書は「無車検・無保険」に気づかないまま、今もこの車に乗り続けていたのだろうか。

■「行ってしまえ」ではなく「行ってください」

去年6月、当て逃げ事故の報道を受け武井議員は記者団に「当たった認識がまったくなかった」と説明していた。今回の会見でも・・。

武井議員)
これは何度も申し上げておりますし、捜査でも申し上げましたが、私自身はこの当たったということには全く気付きませんでした。


武井議員は「気づかなかった」と繰り返し強調した。
質問はさらに、核心に迫る。