投資名目で「上場前に暗号資産を交付するので出資してほしい」などと嘘を言い、現金210万円を騙し取ったとして、名古屋市の男女2人が逮捕されました。

2人は暗号資産に関するセミナーを開いて投資する人を募っていたといい、出資者は約120人、出資総額は1億3000万円あまりにものぼるとみられています。

詐欺の疑いで逮捕されたのは、いずれも名古屋市昭和区の、会社役員・近藤正和容疑者(64)と、会社員・近藤雪美容疑者(42)です。

2人は、2019年に「暗号資産への出資金を取りまとめて、販売会社に送金し、取引所に上場する前に必ず出資額相当の暗号資産を交付する」などと嘘を言い、熊本市の20代の男性とその知人に、容疑者名義のインターネットバンクへ金を振り込ませ、現金210万円を騙し取った疑いが持たれています。

警察によりますと、近藤正和容疑者が社長を務める会社が、2019年6月に熊本市内で暗号資産の投資セミナーを2日間にわたって開き、金を振り込んだ2人はその参加者だったということです。

近藤雪美容疑者は、男が経営する会社の従業員で、一連の犯行に関わったとされています。

暗号資産が交付されず不審に思った被害男性が、2022年に「詐欺にあったようだ」と警察へ相談したことで事件が発覚しました。

警察の調べに近藤正和容疑者は「出資を受けて他に流用し、儲けを出したうえで暗号資産を交付する予定だったが、儲けが出なかったため交付できなかった」と話し、近藤雪美容疑者も「詐欺をしようとした覚えはない」などと話し、容疑を否認しています。

暗号資産の投資セミナーには、今回の被害者の他にも参加者がいたといい、被害者や関係者の話などから、出資者は約120人、出資総額は1億3000万円にものぼるとみられています。

他にも数件の被害届が警察に提出されていて、警察は2人の余罪も調べています。