知床沖で発生した観光船沈没事故の裁判が始まり、運航会社の社長側は無罪を主張しました。裁判では、沈没間近の電話音声も公開されました。

事故から3年半。当時7歳の息子と元妻の行方は今もわかっていません。

息子と元妻が行方不明 帯広の男性
「本当に本当に桂田が許せないです。できるだけ最大限の量刑を、罰を桂田に与えてほしいです」

2022年4月、26人が犠牲になった知床半島沖の観光船沈没事故。運航会社の社長で安全統括管理者でもあった桂田精一被告は、業務上過失致死の罪に問われています。

争点は、桂田被告が事故が発生する可能性を予見できたかで、桂田被告は罪状認否でこう述べました。

桂田精一被告
「船長から荒れる前に引き返すと聞き、それなら大丈夫と思って出航を認めた。私には起訴状の罪が成立するか分からない。裁判の中で話すべきことを誠実に説明する」

検察側は「当日は注意報で運航基準を上回る風や波が予報されていて、『春先は天気が急変しやすい』海域の特性も踏まえれば、事故は予見できた」と指摘。

一方、弁護側は「船長が独断で午前中に戻ってこられないコースに変更し、事故が起きたため、桂田被告に事故を予見することはできなかった」と無罪を主張しました。

息子と元妻が行方不明 帯広の男性
「やっぱり憤りしか感じませんでした。先ほどの裁判中も、ずっと彼のほう、目を見ていましたけど、一度も目が合うことはなかったです」

法廷では、沈没間際の観光船からの電話音声も公開され、遺族は涙を流しながら聞き入りました。