分譲マンションは新築物件と中古物件に大別される。そしてもう一つ、「リノベーションマンション」というジャンルがあるのをご存知だろうか。

これは中古物件をリノベーションし、住まいとしての付加価値を高めたマンションのこと。リフォームが修繕を施して原状回復をし、“マイナスをゼロに戻す”イメージなのに対して、リノベーションは間取りや設備を刷新し、“マイナスをプラスに変えて”暮らしの質をも向上させているのが特徴だ。室内は新築のようなのに、同立地の新築マンションよりコストパフォーマンスに優れることからも、第三の選択肢として存在感を増している。

新築分譲マンション「ザ・パークハウス」を手掛ける三菱地所レジデンスも、自社の強みを生かしたリノベーションマンション「リノレジ」を展開している。このリノベーション事業での省エネの取り組みが評価され、今年10月「2025年度グッドデザイン賞」を受賞した。

近年注目度が高まっているリノベーションマンションの現在地と、リノレジが目指す未来について、三菱地所レジデンス 執行役員 リノベーション事業一部長の小原多久美さんと久保令奈さんに話を聞いた。

新築マンションデベロッパーのノウハウを生かしたリノレジ

新築のような内装で、従来の中古物件とは一線を画したリノベーションマンション。新たな選択肢としての魅力は、どこにあるのだろうか。

三菱地所レジデンス 執行役員 リノベーション事業一部長 小原多久美さん


三菱地所レジデンス 執行役員 リノベーション事業一部長  小原多久美さん
「リノベーションマンションは、床や建具などすべて変えるものから一部だけ変えるものまで、物件によって違いがあります。ただ多くの物件は、改修時にデザインや間取りに最近のトレンドを取り入れ、必要に応じて最新の設備を取り入れています。中古マンションを購入し、自分でリノベーションするのはとても大変です。それが済んだ状態で販売されているのが魅力の一つだと思います。また、新築と比べて中古マンションは供給エリアが広いため、希望する立地を選びやすい点もリノベーションマンションの利点です」

「リノレジ」の一例、東京・港区の築19年のマンションの室内。運河を臨む立地のよさとアップデートされた室内の上質感の両立は、リノベーションマンションならでは。
空間にあわせて新築の仕様に準じ特注で製作したシステムキッチンを導入。それができるのも新築のノウハウを生かしたリノレジならではの強み。
新築に準じたトレンドカラーや省エネ性の高い浴槽や給湯器の採用で、時代に合わせてアップデート。


中古物件を自分でリノベーションする場合、購入金額のほかに改修費が必要だ。その費用を正確に掴むのはなかなか難しい。一方、リノベーションマンションは改修費が販売金額に含まれているので、必要な費用が明確になっている。そのため、実質的には改修費も込みで住宅ローンを借りることができるなど、経済面でのメリットは大きい。

約60年にわたり、約20万戸の新築マンションを提供してきた三菱地所レジデンス。これまでのように新築市場を牽引しつつ、いまリノベーション事業にも力を入れているのには訳がある。

小原多久美さん
「新築マンションを提供するだけでなく、ご売却をご希望のお客様から中古マンションを買い取らせていただき、快適性と経済合理性に加えて環境への負荷も考慮し、最適なリノベーションを施して再び市場に戻します。住まいを人から人へとつなぎ、持続のサイクルをつくるのは、とても大切なことです。新築マンションデベロッパーだからこそやるべき使命だと考えています」

三菱地所レジデンスのリノベーションマンション「リノレジ」は、自社の「ザ・パークハウス」だけでなく、他社が分譲した物件も対象としている。取り扱うのは新耐震基準適用の物件のみという選定基準を設けるなど、リノレジならではの特色がいくつかある。

三菱地所レジデンス リノベーション事業一部 久保令奈さん


三菱地所レジデンス リノベーション事業一部 久保令奈さん
「新築マンションデベロッパーとして長年培ってきたノウハウを最大限に生かしています。たとえば室内のカラーは新築に準じたカラースキームを作成することでトレンドをおさえてまとめることができますし、最新設備を部屋ごとに適したサイズやレイアウトで導入できるのも、新築マンションを手掛けている強みです。ソフト面も整えており、お引き渡し後2年間は24時間対応の駆けつけサービスを提供するなど、サポート体制も充実させています。上質な暮らしと確かな住まい、そしてホスピタリティを備えたリノベーションマンションが、リノレジ品質です」

良質なマンションストックを利用し、安心して暮らせる「リノレジ品質」でリノベーションマンションを提供している。

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グッドデザイン賞を受賞した、リノベーション物件の省エネ化の推進

いま、省エネ化の波が住宅に押し寄せている。2025年4月、すべての新築住宅に省エネ基準(*1)への適合が義務化された。2030年には、さらに省エネ化を進めたZEH水準(*2)に基準が引き上げられる。これは室内の断熱性を高め、給湯器など高効率の機器を備えた省エネ住宅を標準化することで、温室効果ガスの排出削減を目指すものだ。

(*1)建築物の断熱性能及び設備に関する基準を満たした住宅で、断熱等性能等級4かつ一次エネルギー消費量等級4の性能を有する住宅
(*2)建築物の断熱性能及び設備に関する基準を満たした住宅で、断熱等性能等級5かつ一次エネルギー消費量等級6の性能を有する住宅

新築住宅が省エネ化されるなか、まだ規制がないリノベーションマンションで業界に先駆けて省エネ化を推進しているのがリノレジだ。三菱地所レジデンスは「リノベーション住宅における省エネの取り組み」が評価され、2025年度グッドデザイン賞を受賞した。

小原多久美さん
「当社は2022年にCO2排出量削減戦略を打ち出しました。新築だけでなくリノレジでもこの取り組みを進めており、改修時にZEH水準または省エネ基準を達成したリノベーションマンションは全体の60%を超えています。業界の先陣を切った動きが評価されました」

リノベーションすることで、どこまで省エネ化したのかは一般のお客様にはわかりにくい。新築では義務付けられている省エネ性能の表示も、リノベーション物件では推奨にとどまっている。そこでリノレジでは独自の「省エネルギー性能報告書」を作成し、購入希望者にわかりやすく伝わるよう可視化する工夫をしている。

小原多久美さん
「報告書をつくることで、お客さまは省エネ性能の有無で物件を選べるようになりました。ZEH水準・省エネ基準を達成したリノベーションマンションは、住宅ローン減税の優遇が受けられます(*3)。報告書には住宅ローン減税の優遇措置についてもわかりやすく表示しています」

(*3)諸条件がございます

省エネルギー性能報告書。ZEH水準または省エネ基準であることを表示し、断熱性能を1〜7の等級で記載。住宅ローンの借入額・控除額の優遇についても記載するなど見える化がされている。


リノベーションでの省エネ化は、たとえば窓を二重サッシに変えて高断熱化したり、壁の断熱材を補充したりすることで、目標の達成を目指す。そのため、難易度が高いイメージもある。

小原多久美さん
「実は同業他社の中でも、リノベーションによるZEH水準・省エネ基準の達成は難しいという思い込みがあります。でも、リノレジで取り組みを進めると、高効率の給湯器や節湯型の水栓の導入など、普段のリフォームと同じように設備をリニューアルするだけで達成できるマンションも多いとわかりました。従来のイメージを変えるため、当社はそのノウハウを公開していきます。同業他社と情報を共有し、リノベーションマンション全体の省エネ化を目指す姿勢も、グッドデザイン賞では評価されました」

壁断熱や内窓の設置など大掛かりな施工だけでなく、LED照明への変更や節湯水栓への変更などでも住宅の省エネ化は実現できる。

ZEH水準・省エネ基準への取り組みの詳細はこちら

高い品質と省エネを両立した、リノベーションマンションの意義

2013年に事業化し、取得実績は2,300戸を超えたリノレジ。実際に購入し住んでいるお客様の声も多数届いている。

久保令奈さん
「トレンドを反映したデザインが大きな決め手の一つになったというお客様がいらっしゃいました。床暖房や食器洗い乾燥機など、最新設備が快適で満足しているという声も多いです。また、24時間対応の駆けつけサービスを利用したらとても丁寧で、安心感が増したという方もいらっしゃいます」

中古マンションの総数は、年々増加中。リノベーションマンションという市場も、これから拡大していくことになるだろう。

小原多久美さん
「安心して暮らせるリノベーションマンションとして、品質にこだわるのは絶対条件です。また当社新築では標準化した省エネの取り組みが、リノベーション物件でもスタンダードになるよう発信を続けたいと思います。いま、リノレジに関わる社員は社会的な意義を感じながら仕事に取り組んでいます。とてもやりがいのある事業です」

上質な暮らしと省エネを両立させた、三菱地所レジデンスの「リノレジ」。ZEH水準・省エネ基準を満たしたリノベーションマンションは、個人の資産価値を高めるだけでなく、広がることで、人々が暮らしやすい「社会・環境」へもつながる。三菱地所レジデンスの挑戦は、リノベーション住宅のスタンダードを進化させ、住まいの未来を大きく変えようとしている。

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