米国とイスラエルによるイランへの爆撃を受け、ペルシャ湾と外洋を結ぶホルムズ海峡で石油輸送が大きく滞っている。イランのメディアは同海峡が「事実上閉鎖」されたと伝えた。

イラン海軍を名乗る無線放送がホルムズ海峡の通航禁止を発表したと船舶は報告している。石油・ガス輸送の要衝である同海峡の状況に関してイランから正式発表はないが、ここ数時間でホルムズ海峡に向かっていた複数のタンカーが方向転換した。爆撃開始後には、すでに多数の船舶が海峡入口付近で待機していた。

混乱は原油タンカーから家具を運ぶコンテナ船まで広がっている。ホルムズ海峡は世界の海上輸送による石油と液化天然ガス(LNG)の約5分の1が日々通過するエネルギー市場の要衝だ。輸送面の支障がどの程度続くかは不透明で、通常より大幅に少ないものの、通航を続ける船舶もある。

イランのタスニム通信はホルムズ海峡が事実上閉鎖されたと伝え、革命防衛隊が同海峡の通航は安全ではないと船舶に警告したと報じた。これを受け、ドイツ海運大手ハパックロイドは「公式な閉鎖」を理由にホルムズ海峡の通航を停止すると明らかにした。

英海事機関UKMTOは電子メールの声明で、統合海事情報センターの勧告を引用し、ホルムズ海峡の正式な閉鎖は一般に認められた安全チャンネルを通じて海運業界に公式には伝達されていないと明らかにした。

ブルームバーグがまとめた船舶追跡データによると、2月28日午後の時点で一部の石油・ガス輸送船は航行を続けているもようだ。

今回の攻撃を受けて通航量はすでに大幅に減少しており、海峡入口の内外でタンカーが滞留しているとブルームバーグは先に報じていた。米国は地域の船舶に対し、同国の軍事資産から30カイリ離れるよう警告を出した。

ブルームバーグが確認した通達によれば、日本郵船は先に、自社の船舶にホルムズ海峡を通航しないよう指示。ギリシャも同国の大規模な商船に対し、通航の見直しを求めた。ある船主は、米国の勧告を事実上の海峡閉鎖と解釈したと述べていた。

混乱が長期化すれば、世界の石油貿易に極めて大きな影響が及ぶ。先物市場は土日に休場しており、リスクがどの程度織り込まれているかは把握しにくい。ただ、IGグループが提供する個人向け取引商品では、ロンドン時間2月28日夕時点でウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)が8%余り上昇していた。

トレーダーらは、イランの報復攻撃による影響や港湾への波及など、さらなる混乱の有無にも注目している。今後数時間の不確実性を理由に、週明けの市場を見通すのは時期尚早だと指摘する声もある。

ホルムズ海峡はLNGにとっても重要な輸送ルートだ。船舶追跡データによると、カタール発着のガスタンカー少なくとも3隻が同海峡を避けるため航行を停止した。カタールは世界2位のLNG輸出国で、昨年は供給全体の20%を占めた。同国の出荷はアジアや欧州の買い手に向かうためホルムズ海峡を通過する必要がある。

船舶追跡データによれば、複数のコンテナ船も航行を停止するか、通過中にUターンしている。

船舶ブローカーによると、船主の中には中東向けにすでに契約済みの航海を取り消すことを検討する動きもある。米国やイランを含む特定国間で戦闘が発生した場合に契約を解除できる戦争条項を根拠としている。これによって同地域の船舶供給が引き締まり、近年で最高水準に急騰している運賃をさらに押し上げる可能性もある。

原題:Ships Avoid Hormuz as Iran Media Says It’s Practically Shut (2)、No Official Closing of Strait of Hormuz: UKMTO(抜粋)

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