先月の初場所、新入幕で11勝を挙げ敢闘賞を受賞した大の里(23・二所ノ関部屋)が1日、両国国技館で行われた相撲教習所の卒業式に出席した。
相撲教習所は、両国国技館内にあり、入門まもない力士たちが本場所以外の期間に相撲の基礎を学ぶ。茨城・阿見町にある二所ノ関部屋からは電車で両国まで1時間20分。大の里は連日5時前に起き、始発で通った日々を「ハードスケジュールでしたね、朝から。でも、大変だったけれどみんな通ってきた道なので」と苦笑いで振り返った。
教習所では、稽古や座学だけでなく、講義の一環として、国技館にほど近い相撲の神様を祀る野見宿禰(のみのすくね)神社への参拝と清掃も経験。「本当に、終わってみたらすごく充実した教習所生活を過ごせた。相撲のことについて初めて知ったこともあったので、糧として頑張ります」と胸を張った。
1月1日の能登半島地震から、今日でちょうど1か月。甚大な被害を受けた石川県出身の大の里は場所前「地元に明るい話題を届けたい」と口にし、その想いを胸に土俵へ上がり続けた。その初場所では、11勝を挙げ終盤まで優勝争いに絡み、横綱にも初挑戦した。「良い場所だった。目標だった2桁もいけた、ケガ無く終われたので良かったかな」と収穫を口にするとともに、「石川の方が『元気もらった』という新聞記事が親から送られてきて、こっちまで嬉しかったので良かった」と故郷のチカラになりたいという想いが、パワーの源にもなったと明かす。
千秋楽を終え4日経ったが「今は、相撲のことを忘れたい。今はゆっくりしたい」と笑う。まだマゲの結えないザンバラ髪の23歳は、初場所11勝4敗で西前頭15枚目から番付のジャンプアップも期待されるが「ケガ無く勝ち越しを目指して頑張ることが大事、それだけ」と次の春場所(3月10日初日@エディオンアリーナ大阪)を見据えた。
■相撲教習所
入門した全ての力士が、新弟子時代の6か月に必ず通う。朝7時のランニングから始まり、稽古、相撲の歴史、相撲甚句、運動医学、スポーツ生理学などの勉強、掃除などを通して一人前の力士を目指す。1日の終わりは、国技館地下の食堂での昼食。体を大きくするためにも、自由におかわりができる。
■大の里(おおのさと)
192cm、183kg 本名・中村泰輝 2000年6月7日、石川県津幡町出身の23歳。
日体大時代に2年連続アマチュア横綱となるなど輝かしい実績を誇り、23年5月の夏場所、幕下10枚目格付け出しで初土俵。所要4場所(昭和以降3位タイ)のスピード新入幕を果たした。師匠は、第72代横綱・稀勢の里の二所ノ関親方。相撲教習所の科目で、最も得意だったのは「書道」。最近は、部屋の関取・白熊などと料理をして気分転換することも。














